
石井の事故でバランス崩れた救援陣
強さの大きな原動力は抜群の安定感を誇る救援陣だったが、連敗が始まる前のオリックス戦でアクシデントがあった。守護神の岩崎優とともに5月中旬から抑えを任されるようになった石井大智が、6月6日のオリックス戦で打球が頭部を直撃して負傷退場。タンカで搬送された後、医師の指示の下で自宅静養となり戦列を離れた。
それまで24試合に登板し、防御率0.36、3セーブ、17ホールドと抜群の安定感だった石井の不在で、救援陣のバランスに狂いが生じた。続く西武3連戦では6月10日の初戦に2点リードの8回から登板した桐敷拓馬が4失点と崩れて逆転負け。翌11日も2点リードの9回に湯浅京己をマウンドに送り込んだが、制球が定まらず1死満塁のピンチを作って降板。岩崎が投入されたが、西武打線の勢いを止められずサヨナラ負けを喫した。湯浅は15日の楽天戦では同点の延長12回から登板したが、3本の安打を浴びサヨナラ負け。翌16日に登録抹消された。
「西武戦で歯車が狂いましたね。今まで勝ち切っていた試合展開で3試合連続逆転負けはダメージが大きい。石井が戦列を離れたことで、開幕から17試合連続無失点と結果を残していた湯浅を最終回に抜擢した藤川監督の決断は決して間違っていなかったと思います。岩崎という選択肢もありましたが、毎年60試合前後登板していることを考えると負荷を軽減したい思惑があったでしょう。これから白星を積み重ねる上で、救援陣の整備が最大のポイントになります」(スポーツ紙デスク)
来日1年目の昨年、59試合登板で14セーブ31ホールドの大活躍を見せたゲラは、今季6試合登板で防御率13.50と誤算。4月下旬に登録抹消されると、ファームでも痛打を浴びるなどピリッとしない。昨年リーグ最多の70試合登板で最優秀中継ぎ投手を受賞した桐敷は勤続疲労が懸念される。石井は練習を再開したが、1軍復帰の判断は慎重になるだろう。
それでも、阪神を取材するスポーツ紙記者は楽観的に語る。
「防御率0点台の及川雅貴、新外国人右腕のネルソンのほか、富田蓮、椎葉剛、ドラフト3位の木下里都と楽しみな若手がいる。彼らにとっては首脳陣の信頼をつかむチャンスです。結果を残せば、救援陣の層がさらに厚くなります」