夏の高校野球・地方大会で本当に起こった珍事件の数々
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 第107回全国高校野球選手権大会(8月5日から甲子園球場で開催)の地方大会が始まった。甲子園常連の強豪校から部員不足の数校が集まった連合チームまでさまざまなチームが一緒に予選を戦い合うなかで、本当に起きたまさかの珍事件を紹介する。

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 4月22日に西武ライオンズが今井達也、平良海馬の継投でノーヒットノーランならぬ“ノーヒットワンラン”を達成したが、1986年の神奈川大会でも、2回戦の鎌倉対横浜商工で、完投勝利によるノーヒットワンランが生まれている。

 鎌倉のエース・市島徹は0対0の2回、先頭の4番・仁藤武司を打撃妨害で出塁させたあと、自らのけん制悪送球で、走者が三進。無死三塁で5番・川島常明にスクイズを決められ、1点を失った。

 だが、「先制されたので、逆に頑張って投げた」とスイッチが入り、外角への直球を武器に安打を1本も許さない。

 7回まで7残塁とあと一打が出なかった味方打線も0対1の8回1死一塁から3連打で逆転すると、8番の捕手・荻山新一が左中間にダメ押しの三塁打を放ち、中継が乱れる間に荻山も5点目のホームを踏んだ。

 市島は終わってみれば9回を無安打1失点の力投で、ノーヒットワンランの珍事に。内訳は三振8、内野ゴロ12、内野飛球3、外野飛球2、死球、犠打、打撃妨害各1だった。

 183センチの長身エースは5対1の快勝後、「ノーヒットのことは途中から気がついていましたが、打線が点を取れないなら、どこまで無安打を続けられるか、やってやろうと思った。無安打に抑えられてうれしい」と顔をほころばせた。

 市島は高校卒業後、早稲田大に進学。90年春のリーグ戦でエースとして優勝に貢献したことを覚えているファンも多いはずだ。

 うっかり打順を間違えるチョンボが回りまわって、あっと驚く大逆転勝ちを呼んだのが、99年の愛知大会1回戦、小牧南対昭和だ。

 2対6とリードされ、敗色濃厚の小牧南は9回に1死二塁と最後の粘りを見せる。ところが、次打者は8番・舟橋武仁なのに、3番手のリリーフで途中出場したことから、早とちりしたのか、9番・加納暁が打順を飛ばして打席に入ってしまう。加納は右前タイムリーを放ち、3対6となった。

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