あっさり、屋台の味、それに塩ラーメンと味噌ラーメンもあるが、結局こってりを頼んでしまう。(撮影・古寺雄大、以下同じ)
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首都圏内の天下一品が大量閉店する――。5月、SNSで衝撃的な情報が拡散された。その後、実際に店舗に貼られた閉店告知のポスターを投稿する人も現れ、愛好家たちはショックに打ちひしがれた。

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 天下一品とは、鶏がらベースのドロドロとしたこってりスープで人気のラーメンチェーン。1971年に京都で創業し、2025年6月16日時点で全国に209店舗を展開している。そのうち東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏では34店舗が営業する。

 しかし、6月30日には渋谷店、新宿西口店、池袋西口店、田町店、目黒店、吉祥寺店、蒲田店、川崎店、大船店、大宮東口店の10店舗が閉店する。首都圏に展開する店舗の3割近くが閉店するということだ。

そこも閉店するんですよね?

 ラーメン評論家の山本剛志さんはこう語る。

「東京を含め、川崎や大宮といった人が多く集まる街の好立地の店舗が中心であることから、注目を集めています。その一方で、実は昨年6月30日にも6店舗が閉店しています。当時は歌舞伎町店や池袋東口店といった店舗が対象でした。ただ、新宿西口店や池袋西口店など、同じエリアに別の店舗が残っていたため、比較的大きな話題にはならなかった印象です。ところが今回、残っていた新宿西口店なども閉店対象に含まれていることから、大きな話題を呼んだのです」

筆者の最寄りの店舗も閉店する。対岸の火事だと思っていただけにショックは大きい。

 15年来の天下一品ファンの東京都在住の30代男性は、肩を落としながらこう話す。

「私はラーメンよりもうどん・そば派なのですが、天下一品だけは別格です。『アメトーーク』(テレビ朝日系)の『天下一品芸人』を見たのをきっかけに、たまらず通うようになりました。あの唯一無二の、どろりとした濃厚なスープがしっかり麺に絡むので、ほかの麺類のようにすすって食べることはできません。だから、麺をハムハムと歯で噛み切りながら食べるのですが、ポタージュのようなスープと、それに合う麺の組み合わせは本当に最高です。これまでは歌舞伎町店に通っていたのですが、昨年急に閉店してしまい、その後は新宿西口店に通っていました。でも、そこも閉店するんですよね? これから一体どこで天下一品を食べればいいのか、本当に困っています」

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