
メニューの豊富さもあり、店は賑わっている。それだけに「なぜ閉店してしまうのか?」という疑問は、ますます深まるばかりだ。前出の山本さんが言う。
「昨年閉店した6店舗は、確認できる範囲ではすべて同一のフランチャイジーが運営していました。今回の10店舗も、つけ麺専門店を直営する、同じ企業が運営しているとみられます」
その企業に取材を申し込んだが、広報担当者は「本件のメディアの取材は全てお断りしています」と回答を差し控えた。
「もうこれで終わりだ!」
SNSでは天下一品の大量閉店の理由として、「値段が高くなった」「味が落ちた」「キャッシュレスに対応していない店が多い」といった意見も出ている。しかし、「チェーン店」という枠組みで見ると、一気に閉店するケースはそこまで珍しくないと山本さんは言う。


「これまでもチェーン店が大量閉店するたびに、『もうこれで終わりだ!』などと言われがちですが、実際にはそうでもありません。例えば、ラーメンチェーンの『幸楽苑』や、長崎ちゃんぽんの『リンガーハット』も、一時期に急激な店舗縮小を行っています。リンガーハットは、特にコロナ禍の影響でフードコートなどから一部撤退しましたが、その後はドライブスルーを併設した“ピックアップ店”を拡大する戦略に転じました。また、幸楽苑は2019年に台風19号によって工場が被災してしまいました。豪雨による被災をきっかけに、西日本からの撤退を発表。そこからは東日本に特化した展開にシフトしています。このように、業態や戦略を変えながら今も、営業しています」
そもそも、大量閉店とはいうが、都内に16店舗も残るというのは、決して少ない数字ではない。それに、昨年12月には神田店がオープンしており、今月下旬には五反田店のオープンも予定されている。のべつまくなしに、大量閉店しているわけではない。ラーメン店のフランチャイズ経営が一区切りつき始めたという見方もできる。