開幕以来、日本の投手の執拗な内角攻めにイライラが募っていたミッチェルは、バットとヘルメットを投げ捨てると、マウンドに突進し、逃げる高橋を猛然と追いかけた。狂乱状態の暴れん坊を何とか止めようと、日本ハムナインが総出でガードしたが、目を血走らせて迫ってくる体重105キロの巨漢の前には、ほとんど無力だった。

 前に立ちふさがったレフト・藤嶋誠剛が右フックを浴び、必死にしがみついたショート・田中幸雄も鎧袖一触、引きずり倒され、左膝を打撲。セカンド・金子誠も顎に強烈なパンチを浴びてKOされ、20人がかりでも、たった1人を止められない。

 水泳帽のような白いキャップをかぶって大暴れするミッチェルの姿は、“白い水泳帽の悪魔”として今もコアなファンに記憶されている。

(文:久保田龍雄)

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