――愛流さんは前妻との間に生まれたお子さんです。前妻も近くに住み、再婚した妻とあまとさんを含めた5人で“新しい家族の形”をつくり、共に過ごすことも多いと聞きました。

 愛流が父親か母親のどちらかと一緒にいると、片方に気まずいといった状況は、彼の精神衛生上よくないと思ったんです。僕らが離婚したから、愛流がどっちとも付き合いづらくなってしまうと孤独だろうし、できる限り彼が自然にどこにでもいられる環境をつくりたかった。みんながちょっとずついろいろなことを我慢しながらも、共に過ごす関係を望むことができたから、今はうまくいっています。

――今の妻が良き理解者だから実現できたところも大きいと感じます。そういった素敵な女性だから、再婚を決めたところもあるのでしょうか。

 そうですね。彼女と出会った当時の僕は、収入が不安定だった。でも「俳優だから」「お金があるから」ではなく、魂の部分で惹かれあうことができたので、彼女のことを信用できたところがありました。

 僕は離婚や事故などの苦い経験から、自分にとって本当に必要な相手が誰かを分かるようになり、直感も鋭くなったところがある。そういう感覚を大切にして生きていますね。それに彼女は器も大きく、懐も深くなって、何があっても笑って許してくれるところがあるんです。

――夫婦円満の秘訣は。

 子どもと同様、「一人の人として尊重すること」ですよね。結婚したからといって自分の所有物ではないし、相手には相手の好みもある。紙の上で縛られてはいるけど、それよりも「好きで一緒にいたいから」という気持ちのほうを大切にしています。

 とはいえ、いい関係でいるために、お互いに努力はしています。僕はできる限り、旅行を含めて、家族との時間をつくるようにしている。彼女のほうは料理の腕がどんどん上がった。

「バーカウンターの法則」というのがあるんですよ。向き合うとお互いの嫌なところが見えてぶつかりやすくなるけど、横に並ぶと融合し、同じ目的に向かっていける。だから、横並びをしたほうがいい。それは夫婦に限らず、仕事相手でも誰とでも大事なことですね。

(聞き手・加藤弓子)

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