
――同じ職業を選んだことで、「子どもが自分のことを認めてくれた」といった感覚は。
ありますね。彼は、要所、要所で言葉にして伝えてくれる。僕はいま大阪に住んでいるんですが、僕の誕生日のときは、「大阪で仕事があったから」と言って、ふらっとプレゼントを持って家に寄ってくれた。そこに手紙も入っていたんです。手紙には、「自分が窪塚愛流と名乗れることを、心から誇りに思っている」と書かれていて、これ以上の褒め言葉はないなって。
強制的に息子を一人暮らしにした理由
――そんな好青年に育った愛流さんに、俳優として大切なことを伝えていますか。
「自分自身のあり方が大切だ」ということを教えています。「自分をよく知る」こと。古代ギリシアの格言に、「汝(なんじ)自身を知れ」というのがあります。自分がどういう人間で、どういう性格で、どんなことをする傾向があるのか――。それが分かることで、初めて“自分のニュートラルな状態”を知ることができるんです。すると、役と自身を比べることができて、役作りがしやすくなるんですよね。
――愛流さんが19歳のときに東京で強制的に一人暮らしをさせたそうですね。
とにかく自立させたかったんですよね。お互いに、親離れ子離れのタイミングだったんじゃないかな。当時の彼は、紹介した自動車教習所に行かなかったりと、いろいろレイジーなところがあったりした。ある日、夜中に叩き起こして、「もう、東京に行け!」と叱ったんです。彼が所属している芸能事務所も、それを望んでくれていたので。一人暮らしをして1年経ったら、彼がいい顔になっていたので、やってよかったです。