
働き続けることがデフォルトの時代に
国内で、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回ってから約30年が過ぎた。働き続ける女性が増え、政府や企業がこぞって両立支援策に力を入れている今の時代に、専業主婦に対するイメージはどのようなものなのか。AERAは5月、専業主婦についてのアンケートを行った。
専業主婦のイメージについては「良い・とても良い」はわずか1割。対して「悪い・あまり良くない」は3割を超え、「どちらでもない」が半数を占めた。
社会の中での位置づけについて尋ねると、「主たる働き手を支える、なくてはならない存在。主婦業は立派な職業」といった肯定的な意見がある一方で、「昭和の時代の遺産」「無職なだけ」といった否定的な意見や「働かなくても家計が回る裕福な存在」と特別視する意見も寄せられた。

後ろめたさや罪悪感を覚えないように
家事・育児を担うことは誰もが認める重要な役割にも関わらず、働き続けることがデフォルトの時代になればなるほど、前出の“バリキャリマウント”が現れてしまうのかもしれない。また、専業主婦側も少数派となりつつあるがゆえに、そういった言葉に敏感に反応してしまうのだろう。
女性の専業主婦願望などについて研究してきた跡見学園女子大学の石崎裕子准教授(社会学)は、こう指摘する。
「専業主婦が女性の典型的なライフコースだった頃も、専業主婦の孤独感や不安感はあったはずです。ただ、今は生き方が多様化し、働く人も増えたことで、そこに留まり続けることへの不安や葛藤も大きくなっているのではないでしょうか」
家事・育児を担うことが大切な役割であることは間違いない。
アンケートに回答を寄せてくれた神奈川県の非常勤公務員の女性(54)は言う。
「働いていなくても、後ろめたさや罪悪感を覚えないような寛容な社会であればいいだけのこと。一人ひとりが選んだその人らしい生き方を受容できる社会であってほしい。本人が納得していればいい。生き方は自由だから」
多様性の時代である。専業主婦という生き方も価値観も、フラットに認めあう姿勢が大切になっている。
(AERA編集部・大崎百紀)
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