フォーム改造で輝きを失うケースも

 相手打者は研究してくる。新たな変化球を習得するのと同様に、フォームを修正して進化を目指すのは当然と言える。ただ、球界OBは「投球フォームに狂いが生じて、元に戻そうとしても戻らないケースは珍しくない」と警鐘を鳴らす。

「僕は現役時代にコーチの助言でクロスステップを修正することになったんですけど、投球の感覚が変わってしまい、ストライクが入らなくなりました。投手は繊細です。フォームに少しの変化を加えただけで輝きを失ってしまうリスクがある。才能ある投手がフォーム改造に踏み切って、輝きを失ってしまったケースを何人も見てきました。高橋は10年、20年に1人の逸材ですから、フォーム改造も克服して突き抜けてほしい」

 5位に低迷する中日が巻き返すためには、高橋の復調が不可欠だ。高橋は交流戦に強いことで知られ、23年は3試合登板して、史上5人目の防御率0.00を記録。昨年も3試合登板で2勝0敗、防御率0.47と抜群の安定感を誇った。今季も得意の交流戦で、本来の投球を取り戻すことができるだろうか。

(今川秀悟)

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