中日・高橋宏斗(日刊スポーツ)
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 メジャーで日本人投手の評価は高い。千賀滉大(メッツ)、山本由伸(ドジャース)、菅野智之(オリオールズ)、今永昇太(カブス)、菊池雄星(エンゼルス)らの活躍により、メジャー各球団のスカウト陣は「次の逸材」を発掘しようと、日本球界に熱視線を送っている。

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 その中で、メジャーから高評価を得ていた高橋宏斗(中日)が今年はピリッとしない。ここまで10試合登板で2勝5敗、防御率3.38。負け数は早くも昨年を上回り、防御率は規定投球回数に到達した投手の中でワーストだ。

 5月31日の巨人戦では7回7安打2失点で降板。並の投手なら及第点をつけられるが、高橋の能力の高さを考えると物足りない。2回に2度の暴投でピンチを招くなど制球が定まらず、テンポが悪い。昨季は21試合登板で12勝4敗、防御率1.38。最優秀防御率のタイトルを獲得したが、今年は思い描いたように球を操れていない印象を受ける。

WBCの活躍で「末恐ろしい」と米メディアが報道

 高橋の注目度が一気に高まったのが、侍ジャパン最年少の20歳で出場した23年のWBCだった。決勝・米国戦で救援登板すると、メジャーを代表する強打者のマイク・トラウトからスプリットで空振り三振を奪い、22年に35本塁打でナ・リーグMVPに輝いたポール・ゴールドシュミットも見逃し三振に仕留める。2死一、二塁のピンチを招いたが、長距離砲のカイル・シュワーバーを中飛に仕留めて無失点に抑えた。この投球が米国で話題になり、「末恐ろしい20歳」、「メジャーで投げる日はそう遠くない」と現地メディアで報じられた。

「この大会には佐々木朗希(当時ロッテ)、宮城大弥(オリックス)、伊藤大海(日本ハム)、戸郷翔征(巨人)、大勢(巨人)とNPBで活躍する投手たちが出場していましたが、メジャー各球団の評価が最も高かったのが高橋宏斗でした。空振りを取れる直球を投げ、スプリットとカットボールの質が高い。米国の記者たちから『高橋宏斗は何年後にメジャーでプレーできるのか』と聞かれたのを覚えています」(WBCを取材したスポーツ紙記者)

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