高橋は2023年のWBCでの活躍でメジャーに注目された

「フォームがしっくりきていない」

 23年のWBC、昨年のシーズン中の高橋のパフォーマンスを見ているため、周囲の求める水準が高くなっている部分はあるだろう。今年は本来の輝きを放つまでに至っていない。高橋に対するメジャーの評価は変わっただろうか。

 メジャー西海岸の編成担当は「最高級の素材であることは間違いない」と強調した上で、こう話す。

「フォームがしっくりきていないように感じる。上半身の力だけで投げている印象で、直球の球速は出ているけどキレがないので空振りを奪えない。制球も定まらないので球数を費やしてしまう。昨年と比べると別人のように映ってしまう」

 メジャーリーガーの代理人は次のように指摘する。

西武の今井達也も一見すると立ち投げのように見えるが、下半身と上半身の動きが連動しているので力強い球を投げられている。高橋の場合は昨年に比べて下半身が使えていないので、打者から見るとタイミングが合わせやすい球質になっています。ただ、本人も分かっているでしょう。微調整すれば改善できる。佐々木朗希(ドジャース)と比べて故障がなくタフですし、総合力の高い投手であるという評価はメジャー各球団で変わらないと思います」

 高橋が投球フォームを変えて懸念の声が上がったのは今回だけではない。23年の春季キャンプで左足の上げ幅を抑えた山本由伸(ドジャース)にそっくりな投球フォームに改造した時、立浪和義元監督が投げ込みにストップをかけたことがある。昨年も投球フォームにズレが生じて修正できず、開幕2軍スタートに。4月下旬に1軍昇格すると、安定した投球を続けた。

「現状に満足せず、フォームを変えていくのは決して悪いことではない。高橋が慕っている山本由伸もプロ入り後に足を高く上げず、体全体を使う独特の投球フォームに改造した時は否定的な見方が多かったと聞いています。高橋は登板を重ねることで良い感覚をつかんでいるでしょう。交流戦に入れば投球内容が安定していくと思いますよ」(中日を取材するスポーツ紙記者)

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