事例② Urban Sophistication 

 2016年にイスラエル出身のElad Yam氏とNeta Yam氏の兄妹によって設立されたブランド。「日常のオブジェクトを再解釈して、ユニークな体験を」のブランド理念のもと創り出されるiPhoneケースやファッションアイテムは、ジャスティン・ビーバーやセレーナ・ゴメス、aespa、TWICE、IVEのメンバーが愛用している。

 2024年7月25日にラフォーレ原宿に世界初の常設展「Urban Sophistication Tokyo」がオープンし、500枚限定で幅約1メートルのショッパーがもらえた。

企業側にとってもメリットは大きい

 SNS全盛期の今、スマートフォン1つで誰もが発信者になれる時代になった。とはいえ、企業からPR案件を依頼されるのはフォロワー数の多い、ごく一部のインフルエンサーに限られており、多くのZ世代は「企業に選ばれる存在」になることへ憧れを抱いている。

 そうした中、フォロワー数や影響力といった条件に左右されず、「ブランドのPRに自分も参加できた」と感じることのできる、「巨大ショッパー持ち歩き体験」は、Z世代の一般人にとって特別な意味がある。もちろん、それは疑似体験にすぎないが、自己肯定感を上げることに繋がるのだ。

 また、お店やブランド側にとっても、この巨大ショッパーは新しい可能性を秘めている。巨大ショッパーを1つ提供するだけで、多数のZ世代たちがSNS上に、持ち歩く自身の姿を掲載してくれるようになるし(それぞれのフォロワー数は多くはないが……)、頼まなくても街に出て人に見せびらかしてくれる。

 これまでのように巨額な広告費やインフルエンサーたちにPR費を払わなくとも、自然と多くの人の目に触れることになり、“歩く広告塔”として機能してくれるという、新しいプロモーション手段となりえるのだ。

 この巨大ショッパーは、ブランドと若者の双方にとってメリットのあるアイテムとして今後、他のブランドにも広がっていくかもしれない。

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