大阪に住む女性(40代)は、役員になって管理組合の必要性を痛感した。
10年ほど前に今の分譲マンションを購入。総戸数は28戸。役員は輪番制で、任期は2年。5年前に役員の順番が回ってきたが、その前年に突然、大規模修繕工事の話が持ち上がった。理由は「マンション内の水漏れ」。確かに水漏れをしている箇所はあったが、大規模修繕工事ではなく、簡単な修繕で済むとしか思えなかった。しかし、当時の役員たちに聞くと、ほとんど何も知らない。見積もりすら取っていなかった。
翌年、役員になった女性は、理事長に立候補。調査を進めると、管理会社に言われるまま進められていたことが明らかになった。本来は簡単な修繕で済む「水漏れ」を、管理会社にとっては大規模修繕を実施するほうが利益につながるため、それを口実に工事を前倒しにしようとしたとしか考えられなかった。女性は言う。
「役員のみなさんはいい人ばかりで、管理会社とのつながりも強くて仲良くなって全部任せきりでした」
顔見知りができた
さらに当時の役員は、義務付けられている理事会の議事録すらつくっていなかった。
理事長になった女性は、大規模修繕工事を一旦ストップさせ、管理会社も代えた。議事録も毎回つくり各戸に配布するようにした。今は管理組合も円滑に進んでいるという。
そして何より、役員になってマンション内で顔見知りができたのがよかったと話す。
「今まで総会でしか見たことがなかったおっちゃんとも、仲良くなれました(笑)。災害があった時とか、顔見知りがいるだけで安心です」
役員になったことで、それまで「他人事」だったマンションの管理や運営を、「自分事」として捉えるようになったという人もいる。
「マンションのことは、住人自ら動くしかないと実感しました」
そう話すのは、都内の大型マンションで暮らす別の女性(50代)だ。2年前に1年間、役員を務めたが、経験してよかったと振り返る。