分譲マンションに住む以上、避けて通れないのが「管理組合」だ。「マンションの管理は、管理会社に任せておけばいい」と思いがちだが、管理会社はあくまで管理組合から業務を委託されているに過ぎない。管理の主体はあくまで管理組合であり、その運営は住民によって構成される役員が担う。役員への就任は、病気や高齢など正当な理由がない限り辞退するのは難しい。ただ、役員の仕事は建物の維持管理や会計、住民間の調整など多岐にわたり、月に一度程度は理事会にも出席しなければいけない。負担は重く「役員になりたくない」という人は少なくない。
AERAがネットで実施した「マンションの管理組合」に関するアンケートなどでも、「役員になりたくない」理由には、様々な声があった。
「管理会社の説明を聞くだけの理事会なら参加したくありません。 解決すべき課題があれば、自身の資産を守る為に参加したい」(40歳、男性、ITエンジニア)
「役員会への出席とか総会準備など、何かと手間暇がかかるため」(67歳、男性、無職)
「誰かに何かを勝手に決められたくない」
埼玉県の分譲マンションに暮らす会社員の女性(45)は、管理組合の役員には「絶対になりたくない」と言い切る。その理由を、こう語る。
「平日も土日も仕事、家事、育児に追われ理事会なんかに出る余裕はありません。しかも、理事会はおじさんばかり。女性の意見はムシするから嫌」
とは言え、管理組合が機能しなくなれば、建物の老朽化やトラブルの放置など住環境はたちまち悪化する。管理会社の言われるがままになってしまうリスクも生じる。そのため、アンケートでは「役員になりたい」と答える人も少なくなかった。
都内の分譲マンションに住む女性(50代)は、役員になるのは「住んでいる者の義務として当然」と話す。
「自分が住んでいるマンションなので、誰かに何かを勝手に決められたくありません。役員として意見を出し、マンションの健全な運営に主体的に関わりたいと思っています」