FA権を行使し争奪戦の末、日本ハムに移籍した山崎福也(日刊スポーツ)

CランクであることもFAでメリット

 山岡がFA権を行使すれば争奪戦になると話す冒頭のスポーツ紙デスクは、「先発、救援と起用法の幅が広く、29歳とこれから脂がのり切る時期に入る。今季の推定年俸が6800万円で、金銭・人的補償が発生しないCランクであることも魅力です」と指摘する。

 高校時代から山岡の実力を高く評価していた他球団のスカウトも、高い評価を口にする。

「2ケタ勝利からは遠ざかっていますが、総合力の高い投手です。先発でゲームメーク能力が高いですし、中継ぎでもセットアッパーを任せられる。投手陣の層が薄い球団は欲しいはず。彼の能力を考えれば今の成績は物足りない。もっとできる投手です」

 FA移籍と言えば、かつては球界を代表する主力選手が争奪戦になるケースが多かったが、近年は違う。金銭・人的補償が発生しないCランク(年俸が11番目以下)の選手に人気が集中することが多い。

 23年オフにオリックスの山崎福也が国内FA権を行使した際はDeNA、ヤクルト巨人ソフトバンク日本ハム、慰留したオリックスと6球団の争奪戦になり日本ハムに移籍した。山崎は先発ローテーションで今後も白星を重ねられると各球団から高く評価されたことと同時に、推定年俸6000万円で人的・金銭補償を必要としないCランクであることも獲得のハードルを下げた。昨オフにソフトバンクから国内FA権を行使した石川柊太も推定年俸1億2000万円でCランクであることが追い風となり、争奪戦になった。残留を望むソフトバンクのほか、巨人、ヤクルト、ロッテ、オリックスが獲得に乗り出し、ロッテに移籍した。

「人的補償が発生するA、Bランクの選手をFAで獲得する場合はコストがかかるし、実績ある選手や将来を嘱望する若手をプロテクトできず、補償で失う可能性がある。Cランクの選手はそのリスクを避けられるという点で大きなメリットがあります。山岡はオンラインカジノで謹慎処分を受けましたが、猛省していますし、イメージダウンはない。他球団が獲得する上で障害にならないでしょう」(前出のスポーツ紙デスク)

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