「S&P500や全世界株式だけに投資していていいのですか? GAFAMなどに集中しすぎるのは不健全。うちの投資信託(サービス)なら……」

 本誌はこれを詭弁(きべん)だと考える。

 野尻さんの言う通り、GAFAMやエヌビディア、テスラなどの時価総額が突出しているのが現在の市場のありのままの姿なのだ。

「市場そのままの状態で買うのがインデックス投資では主流です」と野尻さん。

 それがイヤなら、たとえば米国株を「均等に」組み入れた投資信託を買ってもいい。逆に「S&P500の上位の銘柄だけ」に絞った投資信託を選んでもいい。

「そういった『自分の意思、好み、判断』を加えず『市場全体を買う、市場の流れに任せる』のが時価総額加重平均型のインデックス型投資信託といえるでしょう。

なお現状はテック株の比率が高いですが、20年先、30年先にはGAFAM以外の新勢力が台頭する可能性も十分に考えられます」

 ここで「30年前のS&P500組み入れ上位20」(上の表参照)を見てほしい(本誌入手データ)。

 1位はゼネラル・エレクトリック2.64%、2位はAT&T2.27%、3位はエクソン・モービル2.23%。

 12位にマイクロソフトがいる。

 30年経って、様変わりしていることがよくわかる。

圧倒的人気が正解

 新NISAのつみたて投資枠で買えるS&P500のインデックス型投資信託は17本ある(2025年4月28日現在/金融庁)。この中でどれを買えばいいのか。

 本誌は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が最適解と考える。

 純資産総額6兆4755億円(2025年3月31日現在/以下同)と国内のすべての公募投資信託(除くETF〈上場投資信託〉)で最大。

 信託報酬という運用コストも最低水準の0.0814%(年率、税込み、上限)。ベストチョイスといえよう。

 長期投資が前提のつみたて投資では、低コストとともに純資産総額にもこだわりたい。

 信託報酬が激安水準であったとしても、規模が小さすぎると運用会社や販売会社、資産を管理する信託銀行はほとんど儲けが得られず、諸経費のほうが高くなり……。

 つまり赤字状態が続くと、繰り上げ償還(運用打ち切り)になる可能性も。

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