フジ・メディアHDの安定株主の割合は40%程度

 ダルトンは、フジ・メディアHDの営業利益の過半を占める稼ぎ頭である不動産事業の分離を主張しています。しかし、この主張が認められる可能性はかなり低いと、私は見ています。ダルトンの取締役候補者になっているSBIホールディングスの会長兼社長の北尾吉孝氏もダルトンの主張に追随していますが、そんな北尾氏を含む12人を社外取締役候補とするダルトンの提案に対して、フジ・メディアHDの取締役会は反対することを表明しています。

 そのようなフジ・メディアHDの姿勢の背景には、安定株主による支持に対する自信が見て取れるように思います。私が公開されている情報をもとに算出した、2025年3月末時点のフジ・メディアHDの安定株主の割合は40%近くあります。。

 一方で、国内のアクティビストの代表格であった、かつての「村上ファンド」を率いた村上世彰氏の長女・野村絢氏らなども、フジ・メディアHDの大株主になっています。しかも、2025年5月24日の朝日新聞の記事「怒るダルトン、フジ総会で直接対決か 村上は周囲に『集中投資する』」によると、「村上側は他の銘柄を売却して300億円超の資金を捻出していることがわかった。

 村上は『フジに集中投資する』と周囲にもらしているという」とのこと。これが実施されたら、ダルトンの提案に賛同するアクティビストが所有する株式の合計が、相応の割合になるかもしれません。

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