
発行済み株式数が減る→EPS上昇→(PER不変なら)株価も上昇という思考回路である。
特定口座などで配当を受け取ると、投資家は約20%の税金を払う必要がある。
自社株買いは投資家が税金を払わずに株価を上昇させる効果がある。株を売らなければ値上がり益には課税されないため、税金の支払いを繰り延べできるともいえる。
「自社株買いを行っている高配当株は1株当たり利益が向上するので、配当性向が同じなら理論上は増配が続くことにもなります。
自社株買いはある意味、次の増配のための準備となるのです」
他社が簡単にまねのできないビジネスを行い、収益基盤が盤石な銘柄を選んだほうがいいのは、成長株でも高配当株でも同じこと。
この条件に合致する銘柄なら、自己資本比率などの財務データが低くても「買い候補」となりうる。
「たとえば日本証券金融。株式の信用取引の資金や貸株を手配している企業です。金融業のため、自己資本比率は1%台。財務面では心もとないように見えます。
ただ、日本証券金融は株の信用取引というニッチで差別化された分野で高収益を上げ、高配当を維持しているいい例です。
逆の例としては、液晶テレビなどに強いシャープ。低価格を打ち出す他国の手ごわい競争相手が出てきて差別化に苦戦しています」
億り人の銘柄選び
次に、高配当株への投資で大成功している個人投資家3人の方の意見を順番に聞いていく。
1人目は長期株式投資さん。三菱商事をはじめ、優良な高配当株に投資して元手5万円を21年で1億9000万円にまで増やした。
長期株式投資さんは次の(1)〜(5)を高配当株の銘柄選びの基準にしている。
現状の株価と比較しつつ、今は「低いほう(割安)」かどうかを確認する。