コンクラーベには、投票権を持つ80歳未満の枢機卿133人が参加。出身国は70カ国に上り、前回から約20カ国増えたという(写真:picture alliance/アフロ)

 そのトランプ氏はレオ14世の就任ミサの後、素早く新教皇をホワイトハウスに招待した。

「(就任ミサ後に会談した)バンス副大統領はローマ教皇に大統領夫妻からの手紙を手渡し、温かい歓迎を伝え、できる限り早くホワイトハウスにお越しいただくよう招待しました」(レビット大統領報道官)

「できる限り早く」という言葉からトランプ氏の心境がうかがえる。トランプ関税、ウクライナ戦争の停戦合意に向けた性急な姿勢でのロシアへの接近などで、世界を混乱に陥れてきたトランプ氏。自身は世界の注目を浴び、各国の首脳がすり寄ってくることに快感を感じていたのだろう。それは彼のソーシャルメディアでも明らかだ。しかし、世界14億人の信者を持つカトリック教会のトップに、名も知れないダークホースの米国人が選出された。国内ニュースはトランプ氏から新教皇歓迎ムード一色になった。

話題の会談の行方は

 新教皇・レオ14世が1日も早くホワイトハウスに訪問することを、トランプ氏が今、望んでいるのは間違いない。しかし、実現するかは、不透明だ。ちなみにレオ14世が最初に会談したのは、ウクライナのゼレンスキー大統領だった。就任ミサより1週間前の日曜ミサでは、「世界の戦争の終結」「ガザでの即時停戦」を訴えた。ただ、ガザのことを口にしたものの、イスラエルについては、「人質の解放を願う」として国名には触れなかった。これには強いメッセージ性があるとみられる。

 トランプ氏とレオ14世の会談の行方は、米国内で話題になっている。教皇の兄ルイース・プレボスト氏はテレビ出演し、「トランプ氏との会談はどうなるか」と聞かれ、こう答えた。

「ちょっとデコボコはあるかもしれないが、僕の弟はウォークじゃない」

(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)

AERA 2025年6月2日号より抜粋

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