4月26日のフランシスコ教皇(当時)の葬儀には、トランプ氏ら160を超える国・地域の首脳たちに加え、信者ら40万人超が参列した(写真:ロイター/アフロ)
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「初の米国人教皇」レオ14世をめぐり、ソーシャルメディアではフェイクニュースが投稿され、ウォークという言葉が飛び交っている。ウォーク(woke)とは、トランプ米大統領と支持者らが、リベラル派を非難する際に使う言葉だ。そうした中、新教皇とトランプ大統領との会談の行方が注目される。AERA 2025年6月2日号より。

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 就任直後にニューヨーク・タイムズは、驚きのスクープを報じた。

 それによると、現レオ14世のロバート・プレボスト氏は中西部イリノイ州シカゴ生まれの米国人だが、母方の祖父母にはカリブ諸島のドミニカ共和国生まれの先祖がいるという。つまり、カリブ諸島のアフリカ系混血の血がレオ14世にも流れている。彼は「初の米国人教皇」であるばかりでなく、「アメリカのストーリーを紡ぎ上げる複雑かつ豊かな絆の糸を反映した家系の出身である」というのだ。これは黒人カトリック信者の末裔であるということを示している。

 トランプ派の反応は「やはり、ウォークだ」(Xのポスト)というものだった。多様性・公平性・包摂性(DEI)を撤廃し、その一部として人種的マイノリティーの社会進出を排除しようとしているトランプ氏の政策に照らすと、レオ14世の来歴はウォークと見られてしまう。

 トランプ氏は4月26日、フランシスコ前教皇の葬儀で、黒いスーツに黒いネクタイという欧州のドレスコードに従わず、青いスーツとネクタイで出席。これは欧米メディアやソーシャルメディアで「尊敬の念に欠けている」と非難された。しかし、「青」を着てみせることで、「『誰のルールにも従わない』という彼のメッセージ」(ニューヨーク・タイムズ)を教皇の葬儀という厳粛な場でもあえて演出したわけだ。

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