中西信介さん(右)、小林味愛さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

妻 小林味愛[38]陽と人(ひとびと)社長

こばやし・みあい◆1987年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、2010年に衆議院事務局に入局し、外務調査室に配属。12年に経済産業省、14年に衆議院事務局に配属。同年、日本総合研究所に転職。17年に福島県に本社を置く地域商社「陽と人」を設立。農産物の生産・流通・卸売事業や地域資源を活用した商品の企画・販売事業を展開

 大学卒業後にバリバリ働く中、子育てをしながら出世するキャリアを思い描けず、子どもを持ちたいと思ったことはありませんでした。

 転機が訪れたのは、30歳で会社を立ち上げたことです。福島県の農家さんと関わる中で、子どもが5、6人いる家庭に出会いました。東京では子育てにお金がかかると聞くので、「子どもが多いと時間もお金もかかって大変ではないですか」と尋ねたら驚かれました。「お金なんてかかんねぇ。子どもは勝手に育つんだ」と言われ、衝撃を受けました。今では私も母になり、その言葉を実感しています。

 夫が育休を取った1年間は、6回ほど一家で福島へ。娘は広大な畑で走り回り、「この野菜は誰が作ったの?」と農家さんの名前を知りたがります。育休後も桃狩りなど忙しい時期に手伝いに行く夫は、農家さんの息子のような存在になっています。

 経営をしていると事業のことで頭がいっぱいになるので、育児を全面的にする夫にはとても感謝しています。

(構成・小野ヒデコ)

AERA 2025年6月2日号

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