
何かを食べたいときというのは、体がその食べ物を欲しているときだと思うので、私は夏に限らず食べたくなったら鰻を食べるようにしています。
確か歌舞伎役者の方の言葉だったと思うのですが、大昔、「鰻を食べると頭がハキハキいたします」と発言したという記事を読み、うまいことを言うものだと思わずひざを打ちたくなりました。
まさにその通りで、鰻を食べると栄養が体中にしみわたるように感じます。実際にそんなことがあるかどうかはわかりませんが、視界が明るく開けたり、お肌のツヤがよくなったりしたような感じがするんです。
何かを食べてそういう気持ちになるってすごいことだと思いませんか? 鰻にはそんな「スペシャル感」があるように思います。
私は小学校の同級生たちと長いお付き合いが続いていました。
女性ばかり4人のグループだったのですが、みんなけっこう元気でね。80代半ばくらいまで月に1回、「鰻を食べる会」と称して集まっては食べに行ったものです。
もう2人亡くなってしまい、残る一人は少し離れたところに住んでいるのでめったに会うことができません。
鰻を食べるたびに、仲良しの3人のことを思い出します。おいしいものを見ると好きだった人たちのことを思い出せるというのは、幸せなことだなあと感じます。
月1回の「鰻を食べる会」がなくなった今、お店に出かけて鰻を食べることはめったになくなりました。
娘夫婦や友達など、誰かが来ているとき、「鰻でも食べようか」という話になり、鰻屋さんに電話をして届けてもらうことが多いです。
いつか誰かが鰻を食べるたびに「いい歳になっても鰻が好きだったなあ」と、私のことを思い出す日がやってくるかもしれませんね。

102歳、今より元気に美しく