撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)

 ほかにも、あんまり仲良くしてくれなかったB子さんという方もいました。仕事上で何かにつけ、私に反対意見を言ってくるのです。何か私にイライラするものを感じていたように思います。

 ところが、B子さんが職場をやめてしばらくたったころ、彼女にとって「天敵」だったはずの私にしきりに電話をかけてくるようになったのです。

 しかも長電話で、1時間から2時間、同じ話を何度も繰り返します。

 仕事柄、人の話を聞くのは慣れているので、ふんふんと聞いていましたが、あるときほかの人から「B子さん、認知症になったらしいよ」と聞かされ納得がいきました。

 聞くところによるとみんなに電話していたらしいのですが、ほとんどの人は相手をしていなかったそうです。

 その人にとってふんふんと聞き続ける私は好都合だったのでしょう。

 なんだかとても複雑な気持ちになりました。

 やがてB子さんは亡くなりましたが、今になってご本人がずいぶんと不自由だったんじゃないかなと思います。

 だって人のことを考えてイライラするのってつらいと思うのです。

 私は今、102歳。きっとみなさんから見れば「十分すぎるほど生きた」と思えるような年齢でしょう。

 でも私自身はもっと生きている時間を楽しみたいと思っているのです。

 そんな私からすると、人のことでイライラしたり腹を立てたりするのって、せっかくの楽しい時間を削られるようで本当にもったいないと思ってしまうんです。

 負の感情は自分自身をがんじがらめにして、楽しくなくさせますから。

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