編集:この本は、来年100周年を迎える神宮球場をめぐる私的探訪というテーマなんですが、いろんな方にインタビューした中でやっぱり長谷川さんが印象に残っている方が池山さんだったということでしょうか。
長谷川:そうですね。神宮球場が100年を迎えるにあたって、この球場にまつわる個人的な歴史の本を作りたいな、書きたいなという思いがあって。その「個人的な」っていうところにあくまでもこだわりがあったんです。
僕が考える「神宮球場と誰か」を考えたら、その筆頭株というか、真っ先に頭に浮かんだのが池山さんだったのは間違いないです。神宮球場で躍動していた彼の姿を、自分の本の中にも記録として留めておきたい。それを多くの方に読んでいただいて、みなさんにも忘れないでいてもらいたい、という思いで、真っ先に池山さんをインタビュー相手として選ばせていただきました。

最初、違和感があった「神宮の定点観測者」
編集者:長谷川さんの二つ名に「神宮の定点観測者」というのがあります。今回の本では、インタビューだけでなく、資料などにもいろいろ当たって一冊に表したと思うのですが、長谷川さんにとっての新たな発見はありましたか?
長谷川:「神宮の定点観測者」っていうのは自分で名乗ったわけじゃなくて、誰かが名付けてくださったんです。
この呼び名に関しては最初、違和感があったんですが、年間60~70試合も神宮球場でヤクルト戦を見ていますので、そういう風に言われることから逃げるのをやめよう、というのも正直あるんですね。だから今、「神宮の定点観測者」って言われて、一瞬「ウッ」となりつつも(笑)、それを踏まえてお答えします。