学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA DIGITAL連載。今回は、変化の激しい時代であってもマルチに活躍する子に育ってほしいと願う40代女性からの質問に答えてもらった。未来を生きる子どもたちに身につけてほしい力と、廣津留さん自身が母親から教わって良かったこととは?

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Q. 世の中が目まぐるしく変わっているなかで、日本の教育はなんだかんだ言っても進化がゆっくりだと感じています。このような環境でも、廣津留さんのように高い学力を持ちながら、色々な分野で人の役に立ち、自分自身も幸せを感じられる子どもに育ってもらいたいと願っています。どんな力をつけてあげるのがいちばんいいでしょうか。

A. そうですね……難しいですが、「想像力」ではないでしょうか。海外にも日本にも、世の中にはいろんな人がいるのだと想像できることが、グローバルに人と交流し合うなかでも大事だと思います。

 一見幸せそうに見えても、人はそれぞれの悩みや生きづらさを抱えながら生きているんだなあと実感することがあります。目に見えていることだけがすべてではないんですよね。目の前にいる人も、もしかしたらさまざまな困難を乗り越えてきているのかもしれない。これからの時代を生きる子どもたちには、そういう想像ができて、想像力で人に寄り添うことができる人になってほしいなと思いますね。ある意味、「共感力」に近いのかもしれません。私の場合、高校まで公立の学校だったので、さまざまな家庭環境やバックグラウンドの子たちと学校生活を送ったことが、想像力を養うことにつながった気がします。

 学力については、人と比べるのではなく自分を基準にすることを忘れないでほしいです。テストの点数や順位に一喜一憂するのはあまり意味がなくて、大事なのは自分がやるべきことをきちんとこなしていくこと。「ライバルは昨日の自分」です。世界を見渡したら、学力の高い人はいくらでもいてキリがありませんから。

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