
主砲の岡本和真が故障で離脱した巨人が、苦しい戦いを強いられている。
阪神、ヤクルトに2カード連続負け越すと、13日の広島戦は今季未勝利のエース・戸郷翔征が5回4失点と踏ん張れない。試合終盤に同点に追いついたが、延長12回の末にサヨナラ負けを喫して3位に転落した。この試合では大城卓三が4番に入ったが、4打数無安打2三振と快音が聞かれなかった。岡本、坂本勇人、丸佳浩とチームを支えてきた選手たちが不在の状況で、阿部慎之助監督は打線のやりくりに頭を悩ませているだろう。
奮起が求められるのは若い力だ。その筆頭候補として、浅野翔吾が調子を上げている。
浅野は5月7日に1軍昇格すると、今季初スタメンとなった10日のヤクルト戦で、8回に小澤怜史のフォークをバックスクリーン左に運ぶ1号ソロ。翌11日のヤクルト戦でも8回に吉村貢司郎の真ん中高めの直球を左翼席に運ぶ2試合連続アーチを放った。13日の広島戦でも3回に右翼線を破る二塁打を放ち、6回の打席では左犠飛。森浦大輔のチェンジアップに泳がされながらも下半身の粘りで空振りせず、外野にきっちり運んだ。
浅野は2週間前まで長いトンネルに入っていた。開幕を2軍で迎えると、ファームでも打率が1割を切る深刻な状態になった。持ち味である思い切りの良さが消え、タイミングが取れないため甘い球に手が出ない。打席で迷いを感じているのは明らかだった。4月25日には1軍出場経験がある選手としては異例の3軍降格となったが、この荒療治が吉と出る。駒田徳広3軍監督に身振り手振りで指導を受け、本来の良さを取り戻すと、5月6日に2軍に戻り、翌7日にはけがで登録抹消となった岡本と入れ替わりで1軍に昇格した。
「駒田徳広3軍監督の助言を受けたことが、復調の一因になっていることは間違いありません。以前の浅野はスイングが小さくなり衝突するような打ち方で良さが消えていたが、3軍に降格してすり足から左足を上げる形に変更したことでタメが作れるようになり、構えの際にバットを寝かせることで無駄な力が入らなくなった。打撃がガラッと変わりましたね」(巨人を取材するスポーツ紙記者)