
「中日ファンの地元選手への熱量は違う」
名古屋の民放テレビ関係者は「中日ファンは東海圏内が出身の選手に対しての思い入れが強い。これは独特の文化かもしれません」と分析する。他球団でも阪神は関西出身、広島は広島出身の選手が地元のスターとして愛されるが、中日の地元出身選手に向けての熱量は違うという。石川昂弥(愛知県)、高橋宏斗(同)、大島洋平(同)、岡林勇希(三重県)、根尾昂(岐阜県)など東海圏内の出身選手の名前が場内でコールされると、声援のボルテージが一段上がる。
「名古屋は東京、大阪という2大都市に負けたくないという意識が強いんですよ。地元出身の選手たちが成長してチームが強くなる過程を楽しみにしているファンが多い」(民放テレビ関係者)
中日の私設応援団の30代男性は「23年のWBCを境に、若い年齢層のお客さんが目立つように感じます。大谷翔平の活躍で野球に興味を持った東海地方の人たちにとって、球場に足を運べる一番身近な球団が中日です。勝ってほしい思いはあると思いますが、負けてもヤジを飛ばすことなく楽しんでいる。エンタメを見ている感覚ですかね。僕を含めて昔から中日を応援しているファンは、今年こそ優勝争いしてほしいですけどね」と話す。
いまチームには投打のスター選手となった高橋宏、岡林と地元出身の選手を中心に、イキのいい若手が多い。だが、この私設応援団の男性は「声援の大きさで言えば、根尾がダントツです。甲子園で活躍したスターですし、入団当時から絶大な人気でした。野手で伸び悩み、うまくいかなかった時期長かったですが、中日で活躍することを願うファンは多い。今年こそ1軍で光り輝いてほしいです」と期待を込める。
落合監督時代も観客は多かった
中日は落合博満元監督が指揮をふるった04年から11年の8年間に黄金時代を築いた。全シーズンでAクラス入りを果たし、リーグ優勝4度、07年には日本一に輝いた。落合元監督は4度目のリーグ優勝を飾った11年に監督を退任。当時、「勝っても退屈な野球で客が呼べない」「落合さんがマスコミ対応をしないから、ファンも興味を失って観客席に空席が目立つ」などという批判の声があった。
だが、当時の中日の球団職員は「誤解があります」と語気を強める。
「11年は本拠地主催試合の1試合平均観客動員数が2万9777人で12球団で4位でした。優勝したシーズンであることを考えると物足りなく映るかもしれませんが、このころ12球団全体で観客動員が減少傾向だったことを忘れてはいけません。実際にこの年は5球団が本拠地主催試合の平均観客動員数が2万人を切っていました。落合さんが常勝軍団を築かなければ、3万人近くのお客さんは入らなかったでしょう。集客において、強さは大事な要素です」
立浪和義前監督時に球団史上初の3年連続最下位に沈むなど低迷期が続いているが、再び優勝争いを繰り広げるチームに生まれ変われば、球場に足を運ぶ観客はさらに増えるだろう。熱い声援に応えるためにも、中日は意地を見せることができるだろうか。
(今川秀悟)
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