
昨年と見違える戦いぶりを見せているのが、西武だ。4月26日のオリックス戦から6連勝して、いったんは2位に浮上。5月4日の日本ハム戦に敗れて連勝は止まったが、貯金2と奮闘している。(5月4日終了時)
【写真】同じ高校の野球部だった。渡部聖弥と宗山塁の2ショット
強さの源は投手陣だ。先発ローテーションは今井達也、隅田知一郎、渡邉勇太朗、菅井信也に加え、昨年から白星に見放され続けていた高橋光成も4月29日の楽天戦で597日ぶりの白星をマークした。抑えに平良海馬を据え、セットアッパーには山田陽翔、羽田慎之介ら成長著しい若手が躍動している。チーム防御率2.38はリーグトップだ。
ただ、昨年も投手陣は決して他球団に見劣りする陣容ではなかった。昨年、球団ワーストのシーズン91敗で最下位に沈んだ理由は深刻な得点力不足に尽きる。チーム得点350はリーグワースト。60本塁打、打率.212もリーグ最下位だった。今年もその課題が解消されたとは言えない。チーム得点76はリーグ5位。オリックスから新加入し、4番で起用されていたセデーニョは打率.189、1本塁打と打撃の状態が上向かず、4月23日にファーム降格した。だが、その中で期待以上の活躍を見せているのがドラフト2位で入団したルーキー、渡部聖弥だ。
チームの救世主となっている“隠れ首位打者”
「5番・左翼」でスタメン出場した開幕戦から広角に安打を積み重ねている。右足首捻挫で4月13日に登録抹消されたが、復帰以降にさらに凄みが増す。登録抹消前から続いていたマルチ安打は4月29日の楽天戦で5試合連続となり、球団の新人では1981年の石毛宏典以来44年ぶりとなる記録を打ち立てた。19試合出場で規定打席不足ながら打率.400の“隠れ首位打者”。プロ初アーチはまだ出ていないが、得点圏打率.474、10打点と勝負強さが際立つ。
「チームの救世主ですよ。彼がいなかったら白星を積み重ねられていない。オープン戦は相手バッテリーが意図的に甘いコースに投げて、どういう打撃を判断してくるので新人は気持ちよく打ちますが、シーズンに入ると厳しいコースを徹底的に突かれて打撃が崩れるパターンが多い。渡部聖弥の凄さは開幕から初対戦の投手たちにきっちりアジャストしているところです。打線に不可欠な存在ですし、ドラフト2位で獲得できたのが不思議です」(民放テレビ関係者)