一方、日本では、近鉄退団時の後味の悪さが影響してか、野茂のメジャー初登板を1面トップで取り上げたのは、スポーツ6紙のうち3紙。残り3紙はオウム関連記事だった。

 その後も野茂は好投を続ける。4度目の先発となった5月17日のパイレーツ戦では7回を14奪三振。本拠地・ドジャースタジアムのファンのスタンディングオベーションを受けた。「NOMOマニア」なる言葉も生まれ、野茂は長期ストの影響で人気が低下した大リーグの救世主に祭り上げられた。この頃から日本のファンもこぞって野茂の活躍に熱いまなざしを送りはじめる。

 7度目の先発となった、6月2日のメッツ戦でメジャー初勝利を記録。同年は日本人メジャーリーガー初のオールスター出場を果たし、13勝6敗、リーグ2位の防御率2.54の好成績で、奪三振王(236)のタイトルを獲得。新人王にも選ばれた。

 野茂のメジャーにおける成功後、多くの選手たちが海を渡り、日本人メジャーリーガーが続々と誕生したのは、周知のとおりだ。“メジャー移籍のパイオニア”野茂がメジャー初マウンドに立った5月2日は、これからもメモリアルデーとして長く語り継がれていくだろう。

(文・久保田龍雄)

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