今年は高校生の上位候補が少ないというのがもっぱらの評判だが、その中で頭一つリードしている印象を受けるのが石垣元気(健大高崎・投手)だ。全国から有望選手が集まる健大高崎で入学直後から公式戦で登板すると、昨年春の選抜では全5試合に登板してチームの初優勝に貢献。夏には怪我で離脱した佐藤龍月に代わって背番号1を背負い、甲子園で150キロ台を連発して話題となった。今年春の選抜ではわき腹を痛めた影響で先発を回避したが、それでも大会最速と並ぶ155キロをマークして改めてポテンシャルの高さを示した。

 将来のエース候補が必要な球団が石垣を狙うと見られるが、中でも必要性が高いと思われるのがDeNAだ。現在の先発ローテーションを見てもジャクソン、ケイ、バウアーと外国人選手が3人を占めており、日本人選手の東克樹、大貫普一の2人も今年の満年齢で30歳以上となっている。チームとしても投手陣のてこ入れは必要だということで昨年は上位で社会人の竹田祐、大学生の篠木健太郎の2人を獲得したが、ともに苦しんでいる状況だ。

 二軍を見ても高卒の若手と言えるのは小園健太だけであり、数年後のローテーションは非常に不安なのが現状だ。昨年の指名やこれまでの傾向を考えると野手や即戦力候補を狙う可能性も高そうだが、チームを支える太いエース候補となれる投手として石垣を狙うのも一つの選択肢ではないだろうか。

 もうひとり、1位の有力候補となりそうなのが堀越啓太(東北福祉大・投手)だ。花咲徳栄時代は控え投手だったが、大学では1年春から150キロを超えるスピードを連発。練習では160キロ以上をマークしたことも大きな話題となっている。チームでは主に抑えを任されており、昨年は春秋ともに5試合に登板して防御率0.00を記録。秋の仙台大との試合では6者連続三振という離れ業も見せている。今年春のオープン戦では先発にも挑戦しているが、リーグ戦では抑えに戻っており、リリーフなら即戦力という見方が強そうだ。

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