
昨季の王者・ソフトバンクが上昇気流に乗れない。3、4月は9勝15敗2分で借金6。小久保裕紀監督就任1年目の昨季は、3、4月に18勝6敗2分とスタートダッシュに成功してそのまま首位を独走。シーズン91勝で貯金は42まで積み上げ、2位・日本ハムに13.5ゲームの大差をつけて4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、今年は対照的な船出となった。
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大きな痛手は主力に故障者が相次いだことだろう。近藤健介が開幕早々に腰痛で離脱。外側型腰椎椎間板ヘルニア摘出術を受け、1軍復帰は5月下旬以降になる見込みだ。柳田悠岐も4月11日のロッテ戦で右すねに自打球が直撃し、「右脛骨骨挫傷」と診断された。復帰のメドは立っておらず、長期離脱を覚悟しなければいけない。近藤、柳田の穴を埋めようとクリーンアップで奮闘していた正木智也にもアクシデントが。18日の西武戦で5回の打席で空振りした際に左肩を痛めた。左肩関節亜脱臼のため手術を受け、今季中の復帰は厳しい状況となった。さらに、打率.345と打撃好調だったリードオフマンの周東佑京も故障で離脱。4月23日のオリックス戦で死球を受けた右膝の状態が思わしくなく、29日に登録抹消された。
「4番の山川穂高の打撃の状態が上がってこないのは、主力に故障者が続出していることと無関係ではありません。昨年、本塁打、打点の2冠を獲得できたのは、5番に近藤がいたことが大きかった。相手バッテリーからすると、塁上に走者をためて近藤に回したくないので、山川に甘い球がくる確率が増える。今はマークが厳しくなっている状況でなかなか打てる球が来ない。山川も自分が打たなければという思いが強いのでしょう。ボール球を振って凡打になるパターンが多い」(スポーツ紙デスク)
投手陣もピリッとしない。特に質量ともに12球団トップクラスの救援陣が、勝負所で痛打を浴びるケースが目立つ。セットアッパーのヘルナンデス、守護神のオスナが安定感を欠き、「勝利の方程式」が機能していると言えない。
埋められなかった甲斐の穴
ソフトバンクを取材するスポーツ紙記者は「昨オフに巨人にFA移籍した甲斐の抜けた穴が大きい」と指摘する。
「捕手は海野隆司、嶺井博希、渡邉陸が起用されていますが、盗塁阻止率が低くリード面でも疑問が残る配球が多い。盗塁を刺すのはクイックをする投手との共同作業で、配球も結果論になってしまうかもしれないですが、甲斐と比べると物足りなさが残る。捕手を育てるのは我慢が必要ですが、試合の中盤以降にマスクをかぶる即戦力捕手の獲得に動く可能性があります」