アメリカでのワクチン接種は

 ちなみに、アメリカ[※3] では、百日咳ワクチンは最初の3回(2カ月、4カ月、6カ月)は乳児期にDTPワクチンを接種し、4回目(15〜18カ月)と5回目(4〜6歳)は幼児期に接種されています。百日咳に対する免疫を強化するために、多くの州において11〜12歳に対してTdapワクチンの1回接種が義務付けられており、学校への入学時のワクチン接種要件として求める州が多いようです。18歳以上の成人に対しては、必須ではないものの、Tdapワクチンの追加接種が推奨されているのです。

 免疫が低下していると考えられる10~19歳の若年層が百日咳の感染の中心となることが、日本において今後続くとなれば、日本においても、小学校高学年(10〜12歳)や中学生を対象にした百日咳の追加接種を含むワクチン接種の推奨は、非常に有効な対策となるのではないでしょうか。

 若年層(特に中学生)は、学校での集団生活を通じて、百日咳を広げるリスクが高い世代であるといえます。もしこの年齢層が感染源となれば、感染が広がる可能性が高くなってしまいます。

 この年齢層や免疫がすでに低下してしまっている成人を中心に、追加のワクチン接種を積極的に行うこと、そしてその費用負担を軽くすることで、免疫の低い人や接種できない人の感染から守ることはもちろん、地域社会における百日咳の感染拡大を効果的に防ぐことで社会全体の健康を守る手段の一つとなるのではないでしょうか。私はそう考えています。

 [※1]https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=26269&utm_source=chatgpt.com

 [※2]https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/pertussis/020/2504_pertussis_RA.html?utm_source=chatgpt.com

 [※3]https://www.cdc.gov/pertussis/hcp/vaccine-recommendations/index.html?utm_source=chatgpt.com

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