――宇野さんも、点数だけ考えて演技しているようには見えませんでしたが
日々の練習やスケートとの向き合い方が、演技に出やすいんじゃないかなと僕は思っていて。もちろん僕は点数を求めて練習していましたけれども、生半可な気持ちで点数を求めていたわけではなかったので。「ジャンプだけやって、他は全部駄目」みたいな感じではなかったと思いますけど、でも今みたいに表現力にめちゃくちゃ取り組む、ということはしてこなかった。ただ僕だけでなく、例えばゆづくんを見ても、人間性やスケートとの向き合い方、「自分がこうありたい」というのが、演技に出るんじゃないかなと思うので。そういう面では、スケートを見るのは面白いなと思います。
――この世界選手権で、日本男子は五輪出場枠を3枠確保しました。まだ代表が誰になるかは分かりませんが、ミラノ五輪に向かう日本男子に送る言葉はありますか
みんなの話を聞くと、来季にすごくかけている思いが伝わってきます。僕は二度、オリンピックを経験しました(2018年平昌五輪・2位、2022年北京五輪・3位)。その二回ともゆづくんと僕が出て、その時と比べると、今回は優真くんを除いて誰が出場できるか分からない状況なのかなと。「このオリンピックにかける」という思いを強く持っている人が、今までよりも多いなと感じるので、「みんな頑張れ」と思っています。みんなが一番力を発揮できるように、またそのために毎日励めるように……もしも僕が力を貸してほしいと言われたら、誰にでも協力しますよ。
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ミラノ五輪に挑む日本男子にとって、2大会連続で五輪のメダルを獲得した宇野の言葉は、大きな力になるかもしれない。
なお、宇野が初めてプロデュースするアイスショー「Ice Brave」は6月14日(土)~15日(日)に愛知、6月21日(土)~22日(日)に福岡、7月12日(土)~13日(日)に新潟で開催。詳細は「Ice Brave」公式サイト(URL:https://icebrave.shomauno.com)。
(文・沢田聡子)