
毎年多くの新星が誕生するプロ野球の世界だが、今年最注目のルーキーと言えばやはり宗山塁(明治大→楽天1位)になるだろう。開幕から全15試合でスタメン出場し、15安打1本塁打6打点2盗塁、打率.263という成績を残している(4月16日終了時点)。ちなみに15安打はチーム2位タイ、6打点はチーム1位タイの数字である。このまま順調にいけば、新人王獲得の可能性も高いだろう。
【写真】育成出身で活躍できず、移籍後の球団で日本一に貢献したのはこの投手
ショートの選手ということもあって守備にスポットライトが当たることが多いが、アマチュア時代を振り返ってみると、まず目についたのは打撃の方だった。筆者が初めて宗山の存在を認識したのは広陵高の1年秋に出場した明治神宮大会である。チームは初戦で星稜高のエースだった奥川恭伸(現ヤクルト)に11三振を奪われ、わずか3安打で0対9の7回コールド負けという大敗を喫したが、その中でも「3番・二塁」で出場した宗山は2安打を放つ活躍を見せたのだ。この時の奥川のピッチングが圧倒的だっただけに、より一層宗山の打撃が強く印象に残った。
そして、宗山の才能が大きく花開くのは明治大進学後のことである。1年秋からは3季連続でベストナインに輝き、2年春には打率.429で首位打者を獲得。最終的に4年間でリーグ戦通算118安打を放ったが、これは東京六大学の長い歴史で7位の数字である。筆者は宗山の大学4年間でリーグ戦、大学選手権、明治神宮大会など合計で22試合を現場で見ているが、そのうちノーヒットに終わったのは3試合だけだった。またそのうち2試合は四死球で出塁している。唯一出塁もすることができなかったのは3年時に出場した大学選手権の対仙台大戦だったが、この試合でも第3打席にセンターへの犠牲フライで1打点を記録していた。つまり22試合で打撃面で全くチームに貢献できなかった試合は1試合もないということになる。レベルの高い東京六大学や、全国大会でここまで安定した結果を残し続けられる選手はそうそういるものではない。