結果を残し続けられる理由は安定した打撃フォームにある。大学時代の試合を記録したメモを振り返ってみても、度々スイングの形やタイミングのとり方について「いつ見ても素晴らしい」という記述が残っている。もちろん本人の中ではその時の状態に合わせてわずかな変化はあったのかもしれないが、スタンドから見ている分には“良い意味で”いつも変わらないように見えた。
いつも変わらないのはバッティングの形だけではない。全てのプレーはもちろん、その振る舞いからも感情の起伏が見られることは全くと言って良いほどなかったのだ。特に強く印象に残っているのが2022年10月30日に行われた2年秋のリーグ戦、対立教大戦だ。1点を追う8回、ノーアウト二塁のチャンスで打席に入ると、試合をひっくり返す逆転2ランを放って見せたのだ。試合展開的にもまさに起死回生というホームランだったが、そんな大仕事をしても淡々とダイヤモンドを一周する姿からは2年生ながら既に大物感が漂っていた。3年秋頃からは翌年のドラフトの目玉として注目度も高くなり、大学日本代表などでも多くの報道陣やファンに囲まれることも増えたものの、常に涼しい顔で対応している姿も印象的だった。
ショートの守備についても、現役時代に名手として知られた侍ジャパンの井端弘和監督が絶賛したことでも知られている。以前、井端監督に宗山のプレーについて話を聞いたことがあるが、その時に納得させられたのが“準備”と“脱力”だった。準備というのは常に次のプレー、主にスローイングに繋がる部分だが、常にそこまで考えて捕球する意識が感じられるという点である。具体的には捕球するグラブの位置や下半身の体勢であり、実際にそれを意識して見てみると常に投げやすい位置で捕球していることがよく分かる。また、速い打球や難しいバウンドを処理しようとすると、平凡な選手は体が固まってしまい、それがミスに繋がることが多いとのことだが、宗山は上手く力を抜いて打球を処理することができており、それが守備における対応力の高さに繋がっているとのことだった。