担当編集者(以下、編集):この本は、学校で習ってきた数学、数式がなぜそのような式になっているのかを改めて考えて、解説いただくというものになっています。

 僕、鈴木さんから原稿をいただいた時に、この部分にすごく驚いたんですね。数学の数字、iとかπとか、ひょっとしたら三平方の定理とか、そういったもの含むかもしれません。

 こういったものが、人間が作り出したものなのか、それとも元々自然に、もっと大きく言えば宇宙に存在しているのを人間が見つけてきただけなのか、という問いだと思うんです。すごく深い、めちゃめちゃ面白いなと思っていて。

 まず、ここの部分をどういう思いで書かれたのか、その意図をお聞かせいただければと思います。

鈴木貫太郎さん(以下、鈴木):今、宇宙に通ずる真理なのかといった内容のことをおっしゃいました。この本の別の部分で、ボイジャー、惑星探査機に地球の様子をお知らせする宇宙人へのメッセージが積み込まれているという話を書いたんですけども、そこに使われているのが二進法です。

 なぜ二進法かと言うと、人類は十進法を使ってますけども、それは指が10本だからという理由であって。遠くの宇宙に住む知的生命体が指10本とは限らないので、その知的生命体が何進法を使っているかはわからない。となると、一番合理的な二進法にしておけば、宇宙人にも通じるだろうと。

 宇宙人が存在したときに、言語は絶対に同じはずがないですけども、数学はきっと同じように確立されているんじゃないかなと思いました。

 ですから、発見か発明かということで言うならば……eは1600年代までは誰も思いつかなかったもので、それを地中から掘り起こしてきたわけではないんですけども、どこにも存在していなかったものをベルヌーイやオイラーが作り出してきた。

 それは言葉の定義に厳密に言うならば「発明」なのかもしれませんが、やはり、もともとあった、神様が既に確立した体系に組み込まれたものだから、「発見」なんじゃないかなというふうに思いました。

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