今年は二軍暮らしが続いているものの昨シーズン終盤に大器の片鱗を見せたのが笹川吉康だ。昨年6月に初めて一軍昇格を果たすと、セ・パ交流戦の阪神戦でプロ初本塁打を記録。その後は再び二軍でのプレーが続いたが、シーズン終了間際に再び一軍登録されると、日本シリーズでもスタメン起用されてヒットを放った。193cm、95kgという体格を生かした豪快なフルスイングは柳田を彷彿とさせ、とらえた時の打球の勢いと飛距離は圧倒的なものがある。課題の確実性を向上させて一軍定着を目指したい。

 そして野手で秘密兵器となりそうなのが4年目の山本恵大だ。国士舘高校時代からその打撃には光るものがあったが、進学した明星大では首都大学野球の二部リーグに所属しており、4年時には怪我もあって育成ドラフト9位という評価でのプロ入りだった。それでもプロ入り後は三軍で力をつけると、今年は二軍で37打数18安打、打率.486という驚異的な成績を残し、4月12日に支配下昇格を果たして見せたのだ。その日のうちに一軍登録され、代走ながら試合にも出場したところにも期待の高さがうかがえる。新たな“育成の星”として今後ぜひ注目してもらいたい選手だ。

 一方の投手では前田純、前田悠伍という2人の前田の名前がまず挙がる。前田純は日本文理大時代は130キロ台中盤のスピードながらボールの質の良さが評価されて2022年の育成ドラフト10位で入団。2年目の昨年は二軍で10勝をマークしてウエスタン・リーグの最多勝に輝き、7月には支配下昇格を勝ち取った。今年もここまで勝ち星こそないものの、一軍で2試合に先発登板して防御率は1点台と安定した投球を見せている。貴重な先発左腕として今後も期待だ。一方の前田悠伍は大阪桐蔭時代から注目の投手で、2023年のドラフト1位で入団。昨年は高卒ルーキーながら二軍で12試合に登板して防御率1点台と結果を残し、シーズン終盤には一軍デビューも果たしている。高卒の投手が苦戦している中で希望の星と言える存在だ。

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