
トランプ米大統領の発言を聞いていると、「この株安は一時的な痛みであり耐えろ!」と、経済・金融市場の混乱が生じることをわかって相互関税を発動している節があります。では、トランプ氏の狙いはなんでしょうか? これまでの報道や、トランプ陣営が目論む「第二のプラザ合意=マールアラーゴ合意」などについて考えると、トランプ氏の政策には大きく3本柱が存在すると思っています。
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・関税で世界経済を混乱させつつ、アメリカを相対的に優位な地位に持っていきたい
自国のことは自国でどうぞというスタンスに見えて、中国を意識しているのは自明であり、世界のルールメーカーのポジションを維持したい
・自国産業を強化する
実効性はともかく、ドル安誘発や金利低下を行うことで製造業の復活を目論んでいる
・基軸通貨としてのドルの優位性を維持する
ドル安とは矛盾するものの、昨今のビットコインに対するスタンスなどを見てもうかがえる
相対的な強さ
トランプ関税による経済への悪影響が懸念されて、世界の金融市場はいっせいに動揺し、米欧・アジア各国の株価が連鎖的に下落しました。私自身も、4月6日のNHK「日曜討論」でこの問題について語る機会がありましたが、関税政策の先行きに対する不安が、金融市場だけでなく、輸出産業の現場に大混乱をもたらしている現状を目の当たりにしました。しかし、多くの研究が示しているように単にドル安のみでは米製造業の回復は不十分であり、実際にUSスチールやアメリカの自動車各社の株価が下落したことから、投資家の間では、世界だけでなくアメリカ経済の失速に対する懸念が強まっています。だからこそ、トランプ氏は、あくまでも「相対的なアメリカの強さ」を狙っていると考えるほうが自然なのかもしれません。