また、今日の国際情勢はアメリカ一極集中から、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)諸国などが台頭し、多極化する可能性が増しています。実は、今回のトランプ氏の政策によって、これまでアメリカと友好関係を結んでいた国々が、中国やBRICS諸国に近づくのではないかという指摘が、欧米メディアから出ています。つまり、中国が漁夫の利を得るかもしれないということです。実際、中国株MSCIインデックスは、日米とは対照的に、3月末までに年初来15%以上も上昇しています。今回の株式市場の下落においても、中国は下げが相対的に小さいのです。
アメリカにとっても日本との連携は、中国対策を含む複雑な戦略の一端としたいと考えている可能性があります。こうした中で、日本は従来の連携を維持するか、あるいは米中の間で一定のバランスを取るかという戦略的判断を迫られています。いずれにせよ、迅速かつ明確な交渉の顔を決め、具体的な交渉材料を整理したうえで、アメリカとの建設的な対話に臨む姿勢が求められています。