左投手では芹沢大地(高蔵寺)が筆頭格。昨年夏の愛知大会には侍ジャパントップチームの井端弘和監督が個人的に視察していることからもその素材の良さがうかがえる。チームは秋の県大会初戦で敗れながらもU18侍ジャパン候補強化合宿に招集され、140キロ台後半のストレートで全国から集まった強打者を相手に圧巻の投球を見せた。まだまだ体は細いが強く柔らかい腕の振りは強烈で、ストレートは数字以上の勢いがある。春季大会と夏の愛知大会で強豪を相手にどんな投球を見せてくれるかに注目してもらいたい。

 捕手で高校ナンバーワンの呼び声高いのが大栄利哉(学法石川)だ。1年秋から不動の正捕手となり、チームの選抜出場に大きく貢献。しかし昨年の選抜では大会前に自転車で転倒した怪我の影響で代打のみの出場に終わっている。それから1年が経ち、攻守ともに大きく成長。U18侍ジャパン候補強化合宿でも攻守に抜群のパフォーマンスを見せた。強肩強打に加えて積極的に持ち味をアピールしようという姿勢も目立ち、若手捕手が手薄な球団にとっては狙い目の選手となりそうだ。

 プロからの需要が高いポジションであるショートの選手では今岡拓夢(神村学園)の名前が挙がる。入学直後からレギュラーに定着すると、1年夏には早くも甲子園に出場。昨年も選抜では2試合で4安打を放ち、夏の甲子園でも5試合で5安打ながら長打2本を放って持ち味をアピールした。180㎝、82㎏という堂々とした体格で、リストワークと強肩は高校生でトップクラスであることは間違いない。4月19日から開幕する春の九州大会ではエースの早瀬とともにスカウト陣の注目を集めることは間違いないだろう。

 投手と野手の両方で高いポテンシャルを誇るのが新井瑛太(滝川・投手兼外野手)だ。昨年夏の兵庫大会では2回戦で神戸国際大付に敗れたものの、打っては3打数3安打3打点、投げてもリリーフで140キロ台後半のスピードをマークして話題となった。U18侍ジャパン候補合宿にも選出されると、打撃では少し力みが目立ったものの、投手としては昨年夏より安定感を増したところを見せてアピールしている。昨年までは野手としての評価が高かった印象だが、高校から投手を始めたことを考えると、まだまだ成長する可能性は高そうだ。

 4月に入って各地で春季大会も行われており、冬の間の成長を見せている選手も多い。ここから夏に向けてさらに大化けする選手が出てくることも十分に期待できるだろう。

(文・西尾典文)

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