
少子高齢化が進む現代、祖父母と孫の関係も変化しています。坂東眞理子氏の著書『祖父母の品格』(朝日新書)は、孫との関わり方に悩む祖父母に向けて、豊富な経験と知恵に基づいた具体的なアドバイスを提供しています。本書から、孫との絆を深めるヒントとなる部分を抜粋してご紹介します。
「孫レス社会」の中での祖父母の役割とは?
少子高齢化が進んでいます。その中で、孫を持たない高齢者が増えています。
子どもがいても結婚していない、結婚していても子どもを持たないライフスタイルが浸透し、孫がいないという「孫レス」という言葉も生まれました。孫がいても同居せず、遠くに住んでいて日常的に会うことはまれという祖父母もたくさんいます。
70代の私の世代は男女ともほとんどが結婚し、二人以上の子どもを持つというのは当たり前でした。しかしその子どもたちが「30歳を超えても結婚しない」「いい人がいないといって結婚しないまま年を取っていく」というのが当たり前になってきました。「ウチだけでなくおタクも」と妙に安心しているのが実情です。こうした孫レス社会の中、祖父母はどのように孫と接したらよいのでしょうか。
孫の存在を全面的に肯定する - 祖父母だからこそできる愛情表現
なんといっても孫との関係において一番重要なこと、基本のキは、孫の存在を全面的に肯定することです。
孫が誕生した時、多くの祖父母は大喜びだったに違いありません。私もそうでしたが、自分の子どもが生まれた時は、喜びはあるものの、それに伴う責任感や、これからの子育ての苦労を思い、手放しで喜ぶことはできなかった人も多いのではないでしょうか。
それに比べて孫の誕生は純粋にうれしく、ありがたく、神か仏か、何か大いなるものに感謝する気持ちで満たされました。
子どもにも個人差があり、生まれつきの能力差、体力差、容貌差、性格差などもあります。それをほかの子と比較したり、批判するのでなく、ありのままのその子を全面的に受け入れるのです。