
2025年度大学入試が終わり、新学期がスタートした。AERAは4月14日号で全国3276高校の大学合格実績総覧を特集しているが、その誌面は膨大すぎてAERA DIGITALではとてもご紹介できない。そこで東大合格者に絞って、その出身校の地域別、国公私立別分布を15年度入試と比較してみると、意外なトレンドが浮かび上がった。
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東大学部生の家庭の世帯年収は、1050万円以上が44.7%を占め(「分からない」を除く。2023年度学生生活実態調査)、経済的に恵まれた学生が多いことが知られている。大都市圏の私立一貫校出身者が増えているのではないかとの指摘を受け、東大は学生の多様性確保も狙って16年度入試から推薦入試(学校推薦型選抜)を導入し、女性や地方出身者を増やそうとしてきた。ただ、この間の家庭の世帯年収の分布を見る限り、大きな変化はみられない。
東大は例年、3月10日の合格発表に合わせ、合格者出身校の地域別割合を公表している=グラフ。25年度入試一般選抜に限って見ると、東京が35.8%、東京を除く関東が25.9%と、関東だけで61.7%を占めていた。推薦入試導入前の15年度入試(前期・後期計)では、関東のシェアが59.1%だったので、2.6ポイントの増加。ここ10年で「関東集中」が進んだといえそうだ。
ただ、「東京集中」ではない点に注意が必要だ。東京は37.9%→35.8%と2.1ポイント減少したのに対し、東京を除く関東は21.2%→25.9%と4.7ポイントも増加している。大学通信によると、この10年間で合格者数が大きく減ったのは、駒場東邦(43人減、25年度入試は学校推薦型選抜を含む=以下同)、開成(36人減)、東京学芸大附(32人減)、桜蔭(24人減)といった国私立校(いずれも東京)だった。同社情報調査・編集部部長の井沢秀さんは言う。
「日比谷(44人増)、渋谷教育学園渋谷(17人増)など、逆に合格者が増えた高校もありますが、男女御三家を含むランキング上位常連校の減少が目立ちます。都内の難関私立中高の場合、『東大だけじゃない』と、海外の大学への進学に目を向ける生徒が少数ながら増えていることも影響しているかもしれません」
一方、東京を除く関東で健闘しているのが、神奈川勢だ。横浜翠嵐(58人増)、洗足学園(23人増)、聖光学院(21人増)、浅野(11人増)、栄光学園(10人増)などが東大合格者数を伸ばした。神奈川以外では、浦和・県立(埼玉、14人増)、宇都宮(栃木、10人増)など、公立校の伸びもみられた。
「横浜翠嵐は県立高ながら、受験指導における面倒見の良さで東大合格実績を急伸させました。女子校の洗足学園は理数教育に力を入れ、他の伝統校を引き離しています」(井沢さん)
