タイガース戦で結果を出せなかった佐々木朗希(アフロ)
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 大志を抱き、ドジャースに入団した佐々木朗希が厳しい現実を突きつけられている。本拠地での初登板となった3月29日のタイガース戦で2回持たず3安打4四球2失点KO。デビュー戦に続き、2試合連続で押し出し四球を与え、試合序盤に自滅の形で降板した。

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 タイガース戦の降板後、ベンチ裏にいったん引き上げたがロバーツ監督に呼び戻されてベンチに戻り、目を真っ赤に潤ませてグラウンドを見つめる姿が映し出された。

 現地で取材するスポーツ紙記者は「精神的な未熟さを指摘する声が多いですが、投球フォームのメカニズムが狂っているように感じます。タイガース戦の直球は最速96.9マイル(約155.9キロ)にとどまり空振りが奪えない。球速が出ていないので、打者にボール球になるスプリットを見極められる。クイックも得意とは言えないので走者を出して神経質になり、さらに制球力を乱す悪循環に陥っている」と指摘する。

 課題は制球力だ。メジャーデビュー戦となった3月19日のカブス戦では、3回を投げて5四球1失点。2戦合わせて投球回は4回2/3だけなのに、球数は117。ストライクを取るのに四苦八苦するマウンドが続いている。

 「令和の怪物」と称された佐々木の才能は誰もが認める。ロッテでプレーした5年間は度重なる故障が影響して規定投球回数に到達したシーズンがなかったが、1年を通じてコンディションが整えば「投手タイトルを取れる」と言われていた。だが、佐々木と対戦したパ・リーグの選手は違う見方を示す。

「凄い投手であることは間違いないですけど、自分の中では3年前がピークですね。あの時は手も足も出なかった。この後、大谷翔平(ドジャース)、ダルビッシュ有さん(パドレス)のように佐々木もどんどん凄くなるのだろうと感じていましたが、それからの対戦では思ったほどのインパクトがなかった。昨年は直球の球速が明らかに落ちていましたし、本人も納得していないのでは」

 3年前の2022年、4月10日のオリックス戦で、史上最年少(20歳5カ月)の完全試合を達成した快挙は記憶に新しい。世界新記録の13者連続三振を奪い、毎回の19奪三振も日本タイ記録。そこから中6日で登板した同月17日の日本ハム戦でも8回まで14奪三振で走者を一人も出さなかった。疲労を考慮して9回はマウンドに上がらず、史上初の2試合連続完全試合は幻に消えたが、だれもが佐々木を「怪物だ」と思ったはずだ。

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