
暴投数が2年連続リーグワースト
このころの佐々木は常時160キロ近い直球と落差の鋭いスプリットのコンビネーションで三振の山を築く投球スタイルで、他球団を「攻略する術が見つからない」と脱帽させたが、その後は成長カーブが上向かない。翌23年はコンディションが整わず15試合登板にとどまった。防御率1.78はさすがの数字だが、制球が定まらず球数がかさんで長いイニングを投げられない登板が目立った。8回を投げたのはわずか1試合で、完投はゼロ。12暴投はリーグワーストだった。
昨年は自身初の2ケタ勝利を挙げたが、投球に凄味が消えていた。試合終盤まで投げるために出力を抑えていたためか、直球の平均球速が155キロ前後と前年より3、4キロ落ちて打者に捉えられる場面が増えた。制球も改善されたとはいえず、9暴投は2年連続でリーグワーストだった。
セ・パの球団で投手コーチを務めた球界OBは、こう指摘する。
「藤浪晋太郎(現マリナーズ傘下)にも言えることですが、体が大きくて手足が長い投手はフォームが一度崩れると修正することが難しい。指導するほうも感覚を共有するのが難しいので、本人にしか分からない悩みがある。今の佐々木は制球がバラバラで、球速も出ていない。一度好投してもそのパフォーマンスを続けられるかどうかという疑問があります。まだ23歳と若いですし、先を見据えてマイナーで投球フォームの土台から作り直してもいいと思います」
昨オフにポスティング・システムでメジャー挑戦を決断したが、本人も現状のままでは通用しないと感じたのだろう。メジャー20球団が争奪戦に手を挙げ、各球団のフロントと面談したが、その際、佐々木サイドから「なぜ昨年は速球の球速が低下したのか、その原因と改善策のプランを出してほしい」と要望したことが日米のメディアで報じられた。
前出の球界OBは「長いイニングを投げようと出力を抑えて投げていたら、直球の球速が戻らなくなったケースは珍しくありません。体の使い方でメカニズムにズレが出るとか、年齢を積み重ねて体に変化が生じるなど原因は様々ですが、球速を出そうと力を入れるとフォームのバランスが崩れて制球が悪化するリスクがある」と懸念を口にする。
名門球団のドジャースで先発を担うことは大きな重圧が伴う。常勝を義務付けられた球団で注目度が高いため、ふがいない投球が続くとメディアやファンの見る目が厳しくなる。だが、この環境で成長することを望んだのは佐々木自身だ。
ロッテの関係者は「マウンドで投げている姿を見ると色々背負ってしまっているように感じます。まだ始まったばかりですしこれからですよ。メジャーの舞台で投げることが夢でしたし、楽しんでいる姿を見たいですね」と期待を込める。
次回登板は今月5日(日本時間6日)のフィリーズ戦が予定されている。「3度目の正直」で、首脳陣の信頼をつかむ投球を見せたい。
(今川秀悟)