
ジェンダーアイデンティティーの観点でいえば、アメリカでは「彼」や「彼女」といった代名詞の使い方についても注意を払います。名前や外見だけでは、相手がどちらのジェンダーか判別がつかないからです。
ジュリアード音楽院で卒業後にプロデューサーの仕事をしていた時は、教職員のメールの署名に「She/Her/Hers」など、自分が呼んでもらいたい代名詞をつけることが推奨されていました。最近ではSNSのプロフィール欄に自身のジェンダー代名詞を記載している人も増えていますね。宛名をファーストネームで呼ぶ場合はMr.やMs.なども不要なので迷わないけれど、英語は他人のことをhe/she/theirなどの代名詞で呼ぶことも多いため、署名などに明記されていればやりとりしている相手も困らないという考えです。学校のウェブサイトにも多様性を尊重する取り組みとして、「gender pronouns(ジェンダー代名詞)」の解説が詳しく載っているんです。「ジェンダー代名詞とは何か」「なぜ大事なのか」「どんな例があるのか」といった基本知識のほか、ジェンダー代名詞を間違えて使ってしまった場合やジェンダーアイデンティティーを明らかにしたくない人への配慮についても、学校の方針として示しています。
それにしても、やっぱり日本語は「主人」「旦那」「奥様」「家内」など、漢字から受ける印象がジェンダーニュートラルから離れているから、言い方に迷ってしまう気がしますね。気にしすぎるのもよくないのかもしれませんが、今の中国語では配偶者にこういう言い方はしないと聞いたことがありますし、もう日本語で新しい言葉を作ったほうがよさそうですね(笑)。
構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS