学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA DIGITAL連載。今回は、ジェンダーニュートラルな呼び方をめぐる悩みに答えてくれた。

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Q. ジェンダーニュートラルの時代、夫婦をどう呼ぶかが悩ましいです。自分たちのことを人に話すときは「夫」「妻」でいいと思うのですが、他人の配偶者を呼ぶ際、言葉に困ります。「パートナーの方」というのもなんだかしっくりきません。何かいいアイデアはありませんか。また、アメリカをはじめ海外でもこうしたジェンダーニュートラルな呼び方をすることが増えているのでしょうか。

A. たしかにこの問題は難しいですよね。少し前に知り合いからも「夫婦で旅行に行くと、宿の人からごく自然に“ご主人様”や“奥様”と呼ばれるけど、なんとなく夫婦が対等ではない気がしてしまう」といった話を聞き、考えさせられました。「お連れ様」と呼ばれる場合もありますが、「お連れ」という言葉もどちらかがメインであるという主従のニュアンスを感じてしまいます。かといって「夫様」「妻様」とは呼ばれないし……。今のところ、私個人としては「パートナー」が自分にも人にも使えるのでいいと思っていますが、相談者の方はあえて「パートナー」と呼ぶと何か事情を含んでいそうなことに抵抗感があるのかもしれないですね。その気持ちもわかります。

 英語では、自分の配偶者にも人の配偶者にも「husband」と「wife」が使えて、とてもクリア。アメリカ人の知人は博士号を取得している妻のことを、尊敬を込めて“Dr. wife”という呼び方をしていて、素敵だなと思いました。結婚しているかいないかに関わらず、また異性同性関係なく使える「partner」という言い方もよく聞きます。

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