
「態度が誤解されたかもしれない」
DeNAでチームメートだった選手は、石川が戦力外通告を受けたことに驚いたという。
「真面目な奴です。野球に向き合う姿勢はストイックだし、穏やかに見えるけど負けず嫌い。ブルペンで待機していた時に登板機会がなくて、悔しさを露骨に出したことがあったと聞きました。そういう態度が誤解されたかもしれないですが、それだけの熱量を持った選手がいてもいい。1軍で活躍したいという気持ちの表れですから」
石川は数値だけ見ると、良さが見えにくい投手だ。直球は常時140キロ台中盤と速い部類ではなく、昨年の被打率は右打者が.261、左打者が.310と高い。DeNAは選手起用でデータを重視する傾向にあるので、他の投手に比べて見栄えがしなかったのかもしれない。
ただ、対戦した打者の印象は異なる。セ・リーグ他球団のOBがこう分析する。
「すべての球種で腕の振りが変わらず、直球が手元で伸びてくる。変化球で一番厄介なのがチェンジアップです。手元で消える感覚ですね。走者を出した後にギアを上げて投げてくるのでさらに打ちにくくなる。剛速球を投げ込むわけではないけど、投球術で三振を奪える。元中日の山本昌さんがイメージに近いですかね。データ上の数値だけでは能力の高さを測れない投手です」
走者を背負っても、決定打を許さない。ヤクルト戦で石川が真骨頂を発揮した場面が、勝利投手の権利がかかった5回だった。先頭の茂木栄五郎に四球、代打・増田珠に右前打を許して1死一、二塁のピンチを背負い、赤羽由紘も3ボールと苦しいカウントにしたがここから踏ん張る。直球、ツーシームで追い込むと、8球目の142キロ直球で空振り三振。続く西川遥輝もカットボールで泳がせて一邪飛に抑えた。試合後のお立ち台では、「戦力外になって拾っていただいたジャイアンツ関係者に感謝しています。投げている時もすごい声援をいただいて力になりましたし、とくに5回は皆さんの声援のおかげだと思っています」と感謝の思いを口にした。