企業・団体献金に関する質疑が行われた衆院政治改革特別委=2025年3月28

企業・団体献金は自民党の「根源的DNA」

 公明党と国民民主も企業・団体献金禁止には反対で、現在年間総額1億円までとされる企業・団体献金の総枠を維持するとしている。その上で、受け手を政党本部と都道府県単位の組織に限定すること、同一の政党・政治団体への献金は年間2000万円を上限とすることなどを盛り込んだ規制強化策を発表した。自民より少しはマシに見えるが、企業・団体による巨額献金温存という点では自民と全く同じだ。

 これに対して、立憲民主党など野党5党・会派は共同で、企業・団体献金を一部例外を除き禁止する法案を提出している。「禁止より公開」ではなく、「まずは禁止」という点で自公国とは基本的に立場を異にする。

 本件については、3月末までに成案を得ることで与野党が合意していたが、隔たりが大きすぎてまとまらなかった。4月以降も議論が続くことになる。

 しかし、今後も自民が大幅な譲歩をすることは期待できない。この争いは、自民の「根源的DNA」すなわち同党の存続をかけた戦いだからだ。国民民主も原子力ムラの大企業組合やその関連団体から巨額の献金を受けているので、これを禁止されるのは大きな打撃になる。譲歩するとすれば、立憲案ではなく自民案に擦り寄る形になるはずだ。ただし、参議院選前にそれをやると国民の支持を失う恐れがあるので、表向きは立憲案には抜け穴があるというような言い訳で結論を先延ばししようとするだろう。

 立憲や維新が会期中の法案成立を目指せば、骨抜きの法案を作るしかないが、それは選挙前の両党とものむことはできない。結局、合意不成立のまま参議院選に突入することになる。

 では、参議院選後にどうなるか。

 企業・団体献金が温存されたままになれば、前述したとおり、自民党は確実に資金力に物を言わせて徐々に勢いを取り戻す。特に、夏以降3年間は大きな国政選挙の予定がないので、その時間を使って、徐々に政治資金問題から他の問題へと国民の関心を逸らす作戦をとるだろう。

 また、国民民主は、安保政策や原発政策などについて自民右派とほぼ同じ立場をとっていることから、自公政権との連立に入り、自民右派と連携して国政での主導権を取ろうとする可能性も出てくる。連立入りがなくとも、金権体質を持つ両党が主導する「贈収賄政治」が再び横行することになる。

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