
昨季以上の興奮をと胸膨らませるファンは多いだろうが、二刀流は何よりコンディション調整が問われる。昨季は159試合に出場した大谷だが、休養日が増える可能性もある。
「登板翌日は休ませるとか、投手交代後にDHとして残ることなくベンチに下がることは考えられます。ベッツ、フレディ・フリーマンとスター選手はいますが、ドジャースは完全に大谷選手のチーム。大谷選手をどう大事に使うかを軸に編成が決まっていくでしょうし、エンゼルス時代のように何が何でも大谷選手に出場してもらうということはないでしょう」(同)
二刀流での世界一へ
福島さん、村田さんともに冷静に大谷の現状を分析しながらも、やはり夢を見ずにはいられない。福島さんが今季の大谷に最も期待するのは「二刀流での世界一」だ。
「去年は打者専念で世界一になりましたが、大谷選手の最大の持ち味はやはり二刀流。投打に活躍した23年のWBC、その決勝でマイク・トラウトを三振に切って取って優勝を決める。そんなシーンをワールドシリーズの舞台で見たいと思うファンは多いのではないでしょうか」(福島さん)
村田さんが思い描くのは「“史上最多”4度目のMVP獲得」だ。
「バリー・ボンズが7度MVPに輝いていますが、2001年からの4年連続受賞はステロイドでパワーアップしてからのもので、薬物疑惑のない状態での獲得は3度。今季大谷選手が4度目の受賞となれば、いわゆるクリーンな選手では史上最多になるんです。ドジャースの戦力充実度を考えれば、大きな故障さえなければこの夢が現実になる可能性はかなり高そうです」
大谷は毎年必ずMVP争いに加わり、ここ2年連続で受賞中。メジャーのMVPでは近年「WAR」という指標が重視される。打撃、走塁、守備、投球を評価して、勝利にどれだけ貢献しているかを示す指標だ。二刀流の大谷は打者と投手の数字が合算されるため、群を抜く数字をたたき出す。昨季並みの打撃成績に投手成績が加わればMVP獲得は確実と言っていいだろう。
どこまで数字と実績を積み上げるか。妄想は膨らむ一方だが、何よりも願うのははつらつと球場を駆ける大谷が毎日見られること。そしてシーズン終了後、とびきりの笑顔を見せてくれることを期待したい。(編集部・秦正理)
※AERA 2025年3月31日号より抜粋