
昨季、右ひじ手術の影響で打者に専念し、本塁打と打点の2冠に加え、史上初となる”50-50”を達成した大谷翔平。今季は二刀流復活へ向けた挑戦が始まる。AERA 2025年3月31日号より。
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打撃のみならず、今季大きな話題となりそうな二刀流復活だが、投手の展望はどうか。MLB日本語公式サイト「MLB.jp」編集長の村田洋輔さんは投手としての復帰は急がないと見る。
「ゴールデンウィーク明けに投手復帰と言われていますが、前半戦のうちに復帰できればOKというような声も聞こえてきています。連覇を狙うドジャースにとっては10月以降のポストシーズンに最高の状態で投げてもらうことが最重要。昨季は大谷選手が投げずともワールドチャンピオンになれているわけですし、慌てて復帰させて負担を増やす必要はないというのが大方の見方です」
「10勝50本塁打」も
山本、タイラー・グラスノーに加え、サイ・ヤング賞投手のブレイク・スネルや佐々木朗希を補強し、現時点でもメジャートップクラスの投手力を誇るドジャースにとって、大谷の復帰はあくまでプラスアルファの位置づけ。そして、大谷の肉体、年齢もカギになる。
「大谷選手はこれまでに二度、右ひじの手術をしていて、今年7月には31歳になります。昨年末にテレビ番組の中で『二刀流は最後のチャンス』とも語っていました。今後は徐々に打者のほうにシフトしていくでしょうし、10年契約を結んだドジャースとしても長く活躍を続けてもらうために無理をさせないと思います」(大リーグ評論家・福島良一さん)
2月のキャンプでは新たな投球フォームに取り組み、ブルペンに入ると球速150キロ前後を計測するなど、順調な調整を続けているようにも見える。ファン目線で言えば、大谷が健康体を維持し、毎日その姿を見られるというのがもちろん理想だが、投手・大谷の活躍も見たい。復帰を前提にどんな数字を残せるだろうか。
「仮に6月くらいに復帰してローテーションを守れば、20試合前後の登板数になります。打線とかみ合えば二けた勝利も可能でしょう」(村田さん)
エンゼルス時代の21年、23年は登板23試合で9勝と10勝を挙げている。打線の援護が期待できないチームでその成績なので、強力打線擁するドジャースでは10勝は現実的な数字だ。10勝50本塁打というメジャー史上初のとんでもない快挙も見られるかもしれない。
ちなみに投手成績で達成が期待されるメジャー通算記録もある。50勝まで12勝、700奪三振まで92個。登板数さえ確保されれば、打撃と合わせてメモリアルなシーズンになる。